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スーパーサイエンスキッズ
コンテスト
「明日のダ・ヴィンチを探せ!」スーパーサイエンスキッズ・コンテスト開催

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第1回コンテスト審査会

「HPスーパーサイエンスキッズ」第1回コンテスト審査会を開催
〜アート部門が新設され、これまでにない意欲作の応募に期待が高まる〜

世界的なクリエーターやサイエンティストの卵を発見しようと、2005年11月にスタートしたこのHPスーパーサイエンスキッズ(HPSSK)は、多くの関係者やボランティアの惜しみない協力のおかげで、数多くのイベントやワークショップが実施され、初年度の2006年は大成功を収めることができました。応募された多数のSqueak作品はどれもレベルが高く、それら秀作の中から選ばれたスーパーサイエンスキッズ5名が、世界最先端の研究所などを見学するアメリカサイエンスツアーへと旅立ちました。そして2年目となる今年も、また新たなスーパーサイエンスキッズを発掘するため、2007年度 HPSSKコンテストがスタートしています。去る9月18日に、協賛する日本HP社市ケ谷事業所にて、これまでの活動の中間報告と併せ、第1回1次審査申し込み締め切りまでに応募された作品の品評が、審査員の専門家の方々を招いて行われました。

今年からスーパーサイエンスキッズ・スクールを開催
審査風景1

HPSSKは一貫して「明日のダヴィンチを探せ!」というキーワードを掲げる通り、Squeakを使って楽しみながら課題にチャレンジすることで、子供たちの創造力やイマジネーションを育成し、サイエンスとアートの才能を世界の舞台で開花させるグローバルな人材を育成する目的があります。そこで、HPSSK事務局では2007年度から「スーパーサイエンスキッズ・スクール」を新たに設け、去年同様のコンテストと組み合わせることで、より質の高い活動を目指そうとしています。また、今年から従来のワークショップを「ベーシック」、「アドバンス」、「スペシャル」といったレベルを設けて実施するとともに、大学やNPO団体などの協力を得て「提携ワークショップ」も積極的に開催しています。

のべ1,511人の子供たちが参加

9月8日現在までに、ベーシック、アドバンス、スペシャルの各ワークショップを合計して36回、のべ571人が参加。また、HPSSKに関連する各種イベントは合計6回、のべ940人を数えるなど、トータルで1,511人もの子供たちが参加した、大変充実したものとなっています。中でも、6月2日に実施された、東京大学工学系研究科助教授で筑波大学生物科学系助教授の神崎亮平さんによるスペシャルワークショップ「昆虫脳の驚異の世界と昆虫サイボーグロボット」や、8月23日に開催した国立天文台三鷹キャンパスにおける「もうすぐ月食! 宇宙の旅に出発しよう」が非常に好評でした。そのため、それらワークショップやイベントに参加した子供たちから、実験などを再現したSqueak作品応募が多く寄せられました。一方、HPSSKを支えるボランティア組織「HP-Squeakers」は、今年前半にボランティア向けの勉強会を実施することで会員数も増え、現在、コンテンツ作成委員会を立ち上げ、教材としてのSqueakコンテンツ作成と教師のためのテキストの開発を進める一方で、新設されたアート部門に向けてアドバンスワークショップのための専門家の選任を行うなど、活発な活動内容を明らかにしています。

サイエンス部門とアート部門

今回の審査会には、審査員として5人の専門家の方々に参集いただきました。今年から、サイエンス部門とアート部門に分けて応募作品を募集していますが、審査結果は両部門を通して各カテゴリーの総合得点で判断します。

今回の審査員は以下の方々です。(順不同)

  • 東京学芸大学 教育学部自然科学系 教授 山崎謙介さん
  • アカデミアシステムズ株式会社 代表取締役社長 鈴木元さん
  • 杉並区立和田小学校元校長 横山正さん
  • 学習院高等科 非常勤講師(慶應義塾大学大岩研究所 研究員)杉浦学さん
  • 日本ヒューレット・パッカード株式会社 経営企画室 GPA部 部長 瓜谷輝之さん
審査風景2 審査風景3

第1回コンテスト審査会結果

第1回審査合格作品は、以下の4作品に決定いたしました。



・サムネイルをクリックすると実際の作品が開きます。作品を見るためには Etoy というバージョンのスクイークが必要です。
・古いバージョンをお使いの場合には、新しいバージョンのスクイークをインストールした後で、再度作品を開いてください。
・最新バージョンのスクイークはEtoyはこちらからダウンロードできます。

T・Nさん「カイコガのフェロモン誘導」

作品概要
<サイエンス部門>
カイコガによるフェロモン誘導の実験です。 カイコガのメスは、オスをおびき寄せるためにフェロモンという物質をだします。その行動をSqueakで再現しました。 使い方は、プロジェクト内の『あそびかた』フラップを参照してください。

審査員の先生のコメント

実験の様子を良く観察し、カイコガのオスの習性をスクリプトの変数を使って忠実に再現した点が高く評価されました。デザインや表情までも豊かに表現されており、作品としての完成度もすばらしく、大学レベルに近いシミュレーションとなっています。


ひろーさん「スポイトで動くバブドロロ」

作品概要
<アート部門>
フェロモンを感じた時のかいこ蛾の動きを参考に、スポイトでフェロモンを押し出すことによって動くおばけのバブドロロを作りました。バブドロロはおばけの赤ちゃんで、ドロドロ君の弟です。スポイトを押してフェロモンが出るとドロドロ君の所までバブドロロは進んでいきます。

審査員の先生のコメント

アイデアの展開力がすばらしい。細かく丁寧に作っているだけではなく、プログラム的にも内容を持たせているので、動きがおもしろい作品になっています。個性豊かなキャラクターたちのデザインやネーミングの独創性には脱帽です。


なるさん「電位操作サーキット」

作品概要
<サイエンス部門>
ワークショップで筋肉を動かす時の電気でマシンを動かす、ということみたので、それを再現してみました。動かし方は、右手をクリックするとマシンが左にマシンが動き、左手をクリックすると右に動きます。

審査員の先生のコメント

ワークショップでの実験の内容を良く理解し、それをゲームにまとめた表現力はすばらしい。
スクリプトの書き方も明確で、コースアウトしそうな時に音が鳴るなど、オリジナリティが盛り込まれています。


ゆうたさん「レンガの町を気球で旅する」

作品概要
<アート部門>
たくさんのパーツを組み合わせてレンガ色の町を作りました。気球に乗って旅する旅人が望遠鏡で見た風景を見て一緒に旅をすることができます。好きな場所にマウスを当ててください。では、「Go」を押して旅の始まりです。工夫したところは町の細かなところまで描くためにパーツを大きく書いて縮小したところです。気球が折り返してさかさまにならないように動かすために何度もやりなおしをしました。

審査員の先生のコメント

気球がゆったりと漂うさまや、空から望遠鏡で眺めるアイデアは大変おもしろい。
小学生とは思えないほど、建物が細かく表現されていて絵の完成度も高く、遠近感のある大胆な構図で色使いもすばらしい作品となっています。

また、今回は上記4人以外にもレベルの拮抗した応募作品もあったため、次点としてひろさんの作品を選びました。次回のチャレンジに大きな期待をしています。

各審査員による全体講評

また、サイエンスキッズの作品審査を終えた審査員の方々からは、以下の講評をいただきました。

(山崎謙介さん)
HPSSKコンテストは、作者の表現の意図をはっきりさせることがポイントだと思います。何を表現したいのか、それが評価の尺度のひとつとなれば、子供たちの思いや狙いがより明確になるでしょう。今後、アート部門に向けた作品も増えるにつれ、私達審査員にも新たな驚きと発見があることを楽しみにしています。

(鈴木元さん)
投稿作品数は少なかったものの、昨年のサイエンスキッズからも応募があり、彼らの作品にはパワフルさを感じました。この教育活動の裾野を広げるために大切なことは、何度もチャレンジする子供たちを増やし、彼らのモチベーションを維持することかもしれません。

(横山正さん)
作品の完成度から見ると、去年に比べて未完成のものが多かったように感じました。半面、将来性のある作品も多かったようにも思います。同じテーマでもいいので、もうひと工夫し、完成度を高めた作品でぜひ再チャレンジをしてください。

(杉浦学さん)
実験をしっかり自分の目で観察し、その思いを作品に反映したことはとても良いことだと思います。自由応募の作品でも、何の経験をきっかけにして作られたのかが明確になれば、私達審査員にもより分かりやすかったと思います。今後はそんな制作動機も審査の参考に加えてみたいと思います。

(瓜谷輝之さん)
スペシャルワークショップでは、第一線の先生方の講義や実験などを体験した後にSqueak作品に取り組みました。このことにより、子供たちは得た知識や体験をより強く記憶に残すことができ、作品の内容も深まりました。また、アート部門を新設することで、これまでとは違った作品が集まるようになっています。自身が感じた驚き、発見や気づきが伝わり、見ている人をなるほど! 面白い! と唸らせるような作品が増えるとうれしいですね。

(須藤斉さん:作品のオペレータ)
ワークショップでの作品と、今回のようなコンテストに向けて応募された作品との違いを感じました。また、しっかりとした指導があれば、すばらしい作品を作れそうな子供たちが多いことも事実です。HP-Squeakers(日本HP社の社内ボランティア組織)のひとりとして、そんな子供たちに教えることが、今非常に楽しみに感じています。

終盤の巻き返しを期待

第1回1次審査申し込み締め切りの段階で、応募作品はサイエンス部門で6作品、アート部門で2作品と、去年に比べ若干少ない応募数にとどまりました。今年の前半はスーパーサイエンスキッズのUSツアーやボランティア養成に注力していた為、子ども向けのWSが十分に開催できなかったことが影響していると思います。今後、10月の第2回審査までにはまだ時間がありますので、初めて挑戦する方はもちろん、昨年チャレンジして残念な結果に終わった方々からの再チャレンジもお待ちしています。
そして、保護者や教育関係者の皆様には、HPSSKの趣旨をご理解いただき、ワークショップやイベントへの子供たちの積極的な参加をご支援いただければ嬉しく思います。