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スーパーサイエンスキッズ
プロジェクト概要
小中学生を対象としたワークショップ&コンテスト、2005年12月スタート!!
概要 全体スケジュール アドバイザーからのメッセージ 過去のライブラリ

「スーパーサイエンスキッズ」アドバイザーからのメッセージ

「自然科学や芸術と同様、子供たちには本物を見せることが大切。それはコンピュータでも同じなのです」
東京学芸大学教授 理学博士 山崎謙介さん
自然科学の教育経験を生かし、コンピュータならではの教材開発を研究している山崎さんは、「GISを利用した地球科学eラーニングシステム」を活用した空間認知能力の育成をはじめとして、これまでに杉並区立和田小学校や東京学芸大学付属小・中学校などにおいて、Squeakを取り入れた授業を数多く実践してきました。HPスーパーサイエンスキッズ(HPSSK)の発足当時からアドバイザーとして参加された経緯や、コンピュータによる教育の可能性について話をうかがいました。

「ファンタジーはあらゆる教育に必要なもの」

実は、私自身、自然科学を専門に長年研究していたために、以前はコンピュータによる教育支援の風潮に強い疑問を持っていました。その考えが大きく変わったのは、6~7年前から情報教育に取り組み、コンピュータを使った教育には何が大切なのかを考えるようになってから。そこで改めて、アラン・ケイやシーモア・パパート(発達心理学者。プログラミング言語「LOGO」の生みの親)の活動に大変感激したのです。

とりわけ、アラン・ケイの、「コンピュータは、知の増幅作用とファンタジーの増幅作用を促す」という言葉に衝撃を受けました。知の増幅作用はもとより、ファンタジーの増幅作用とは何だと、その言葉が頭から離れませんでした。その後、"ファンタジーは幻想であると同時にイマジネーションの世界であり、クリエーション(創造性)につながる"と述べた、ロシアの心理学者ヴィゴツキーの「子供の想像力と創造」という著書を思い出し、ファンタジーはあらゆる教育に必要なものなのだというヴィゴツキーの考え方と共通するものだと感じました。

「才能を開花させる可能性の世界は、皆に等しく与えられるべき」

アラン・ケイのSqueakを使った教育活動を知った後、Squeakを活用した教育実践の場を探していたところ、HPスクイーカーズの阿部和広さんと出会い、杉並区和田小学校の存在を知りました。その後、私が抱える大学院生の修士論文に向けた教育実践という形で、授業の機会を設けていただくことになったのです。和田小学校では、2005年10月~12月で、合計7回のワークショップを実施しました。これまでのクラブ活動における小規模単位とは異なり、1クラス規模での授業の難しさや、可能性を検証できたことは大変有意義でした。その経験をHPSSKでも提供したいと思っています。

また現在、ヨーロッパでは、LOGOが小学校のナショナルカリキュラムに組み込まれています。そのため、今後日本でも指導要領にSqueakを盛り込み、全国的に授業で取り入れるべきではないかと考えるようになりました。ただし、私が考えるのは、他のグループの方々が取り組んでおられるような、才能開発や天才を作り出すというスタンスではなく、普通のクラス全員が一律に学ぶ機会を与えたいと思っているのです。小学生時代は、皆絵を描きます。ところが、ある時期を境に描くことを忘れてしまいます。そして、限られた人間だけがその才能を開花させます。コンピュータでも同じことがいえるのです。子供たちには、このような可能性の世界を等しく与えられることが、本来の教育の姿だと考えています。

「本物を見て、それを作り出す側の人間になって欲しい」

とはいえ、学校教育でもスポーツでも同様ですが、才能があればトップに抜きん出ることは大切です。その意味で、現代のダ・ヴィンチを探そうというHPSSKの企画には、光る才能を発掘し、それを開花させ、世の中に示すという社会的意義があるのです。この国で英才教育がなかなか浸透しない中、1企業である日本HPの取組みは貴重なもので、才能教育面で利益を社会へ還元する文化的活動は大変評価すべきものといえるでしょう。

そして、子供たちには"本物"を知って欲しいと思っています。現代はコンピュータがもてはやされていますが、それに振り回されず、コンピュータで何ができるのかを考えることが大切です。子供たちはみなゲームに夢中ですが、大人の都合で作られたツクリモノに捉われず、音楽でも芸術でも本物を見て、そしてそれを作り出す力をもった人間に育って欲しいと思います。その点、「Squeak eToys」はまさに"本質が見えるおもちゃ"といえるでしょう。先生や保護者の皆さんも、この機会にSqueakの可能性に触れてみてはいかがでしょうか。

プロフィール / 山崎謙介さん

1973年11月、東京学芸大学教育学部(地学教室)助手。1978年4月、同学部講師。1981年3月~1982年8月、カナダ政府招聘研究員 エネルギー・鉱山・資源局勤務。1983年2月、東京学芸大学教育学部(地学教室)助教授。1991年4月、東京学芸大学教育学部(数学・情報科学科)助教授。1994年11月より、同上学部教授。 1996年2月~12月まで、文部省在外研究員としてカナダ国ブリティッシュコロンビア大学地球海洋学科にて客員研究員。
(兼務)
  • 1980年4月より、東京学芸大学大学院教育学研究科(修士課程)担当
  • 1996年4月より、東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科(博士課程)担当
  • 1989年12月~2000年3月まで、東京学芸大学附属情報処理センター兼任所員(主に全学の情報教育の総括責任担当)

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