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HPSSKコンテスト2007最終選考会レポート

2007年度のスーパーサイエンスキッズ5人がついに決定!
初の試みとなったアート部門から新たな才能を発掘

「明日のダ・ヴィンチを探せ」を合言葉に、世界的なクリエイター/サイエンティストの卵を発掘し、育てることを目的に始まった「HPスーパーサイエンスキッズ(HPSSK)」コンテストも今年で2年目となり、いよいよ11月25日に最終審査を迎えました。

9月18日と11月9日の2度の予備審査によって選出された、合計15人のサイエンスキッズたちは、会場となった東京・お台場の東京国際交流館に集合。従来の「サイエンス部門」に加え、今年から芸術的才能を評価する「アート部門」が設けられ、それぞれ別の課題に向け、作品制作に取り組みました。

「時計」と「未来の生き物」に取り組む天才たち

サイエンス部門に挑戦する子どもたちへの課題は、「10秒~30秒程度の時間を計れる装置を作り、その仕組みをSqueakで表示もしくは説明しなさい」というもの。紙コップやペットボトルの水、竹ひご、ひも、懐中電灯、スポンジ、ゴム風船など、あらかじめ用意された材料で装置を作り、時間を計るためのデータを世界聴診器で取り込んで、Squeakで時計を作るか、あるいはSqueak上でその装置の仕組みを作品として表現しなければなりません。

審査のポイントは、1回限りではなく、常に決まった時間が計れる装置であることと、Squeak上での理論的な解説の内容が評価されます。

一方、アート部門の選抜者には「未来の生き物を創造しなさい」という課題が与えられました。自分が考えた想像上の生き物なら、動物でも植物でも、微生物でも種類は問いません。その姿をカラー粘土などで作成し、デジタルカメラで撮影した作品の画像(1~3枚)をSqueakに取り込みます。作るための材料は、粘土のほかに、ビーズやカラーボール、カラークリップなどが多数用意され、それらを自由に組み合わせることも可能です。

最後に作者は、それがどんな生き物なのかをはじめ、生きている環境や特徴、なぜ・どのようにして誕生したかなどを、審査員に対してプレゼンテーションすることが求められます。

なお、課題作業中は、トイレ以外会場を出ることはできません。また、保護者との接触や携帯電話の利用も禁止です。ボランティアのHP-Squeakers(日本HPの社内ボランティア組織のメンバー)への質問も、作業上の問題に限られ、作品作成に関するアドバイスは受けられない点が、通常のワークショップとは大きく異なります。つまり、限られた時間内に、自分の力だけで作業しなければならないのです。

しかし、さすがにサイエンスキッズに選ばれた子どもたち。誰もギブアップすることもなく、また集中力を途切れさせずに2時間15分もの間、全員ががんばり抜きました。でも、テストのような緊張はあまりなく、どこか楽しんでいるようにも見受けられました。それもサイエンスキッズゆえの余裕なのでしょうか。

【課題作品の説明とHPSSK最終審査】

サイエンス部門で3人、アート部門からは2人が選出

課題制作中、6人の審査員も真剣に作業過程を観察し、必要に応じて質問も投げかけていました。
そして、規定の課題制作時間が終了すると、個人ごとの作品説明に移りました。
なお、審査員の方々は以下の通りです。(順不同)
並木 美太郎さん 東京農工大学大学院共生科学技術研究部助教授
鈴木 元さん アカデミアシステムズ株式会社代表取締役社長
武田 俊之さん 関西学院大学情報メディア教育センター
高橋 真さん 神戸大学発達科学部教授
本田 光広さん 日本HPコーポレートマーケティング本部本部長
吉田 ひさよさん 日本HPコンサルティング・インテグレーション統轄本部
ビジネスオペレーション本部ナレッジ・マネージメント部
KMコンサルタント

厳正な審査の結果、2007年度のHPスーパーサイエンスキッズには以下の5人が選ばれました。審査員の講評とともに紹介します。(順不同)

<サイエンス部門>

T.Nさん(中学1年)
発砲スチロールで作ったスロープを使い、ビー玉が転がる時間を3秒で計る装置を作りました。この装置なら何度も同じ計測ができます。苦労したことは、スロープの高さの調節でした。4秒かかったり、いつまでも転がらない場合もあったりしました。仮に、この装置を使ってカップラーメンのタイマーを作るには、スロープの長さを300メートル程度にしなければなりません。
(審査員の先生のコメント)
計測装置のアイデアや作り方、実験結果の再現性・正確性などが高い評価となりました。作品やプレゼンテーションに、サイエンス的才能を感じ、審査員みなが高い評価を付けました。その才能をより深めていってください。
コイケッチさん(小学4年)
時間を計る振り子の法則を参考に、時間を計ろうとしました。発泡スチロールで作った振り子台に振り子を固定し、オモリの往復回数を世界聴診器で計ります。具体的には、周波数が2,500以下になると、1ずつ足していく計算機をSqueakで作りました。
(審査員の先生のコメント)
世界聴診器を有効に利用し、振り子の発想を用いて精巧な実験装置を作った努力とともに、Squeakのプログラミングにも配慮した考え方が高く評価されました。審査員のプレゼンテーションも論理的で分かりやすく、科学的才能の高さがうかがえました。
キクチさん(小学6年)
糸巻きに吊るした紙コップに世界聴診器を収め、重力で下に降りてくると、その真下に置いた懐中電灯の光に近づくことで周波数が変わり、時間を計れるのではないかと考えました。装置では、スポンジの摩擦で降りるスピードをコントロールしていましたが、それが壊れてしまい少し速くなってしまいました。設計では10秒前後が降りきります。
(審査員の先生のコメント)
最もメカニカルな装置を作り、プレゼンテーションでもしっかりとアピールできました。また、世界聴診器の活用方法も審査員をうならせました。装置の故障で上手に再現できなかったことは残念でしたが、才能と努力を感じた作品として高く評価されました。

<アート部門>

まっちさん(小学4年)
空を飛ぶ未来の生き物を想像しました。丸い体に羽が生えているこの生き物の名前は「フ ィリー」といい、好きなものは太陽、嫌いなものは雨なので、晴れていないとフィリーは木の住みかから出てきません。住んでいる場所は、空気のきれいなところで、性格は気まぐれ、特技はくるくる回ること、いたずらをすることです。白い羽についたパールが自慢です。フィリーはなぜ生まれたのでしょうか。それは、地上にゴミが増えてしまうなど環境の変化によって、何かの生物が空で暮らすように進化した姿なのです。
(審査員の先生のコメント)
粘土で作ったフィリーの出来栄えはすばらしく、パールで装飾した羽も芸術的でした。また、事前のキャラクターデザインや性格などの設定、Squeakで表現した動きや配色にも工夫の跡が見られるなど、作品全体の世界観も一貫したものとなっていました。これらはアニメーション作りの才能があるとして、審査員の中でも評価は高いものとなりました。
わたるさん(中学1年)
僕の考えた未来の生き物、それはタコの形をしたその名も「タコちゅう」です。このタコちゅうは、天候を自由にコントロールする特技を持っています。今、世界中の異常気象で多くの人々が苦しんでいるので、未来の生物はそれを救って欲しいという希望からそんな能力を持たせました。
そして、Squeakではあるゲームを作りました。田舎星に住むおばあちゃんの怪我を治すために、何でも傷を治す「万能絆創膏」をもって、タコちゅうは宇宙ゴミをリサイクルして作ったロケットで旅をします。ポイントは、ロケットを作れるリサイクルゴミの色を当てるクイズです。そして、未来は便利な生き物や科学が発達しても、高齢者などが取り残されないよう、思いやりのある未来を僕たちで作ろうというのが、今日の作品全体のメッセージです。
(審査員の先生のコメント)
ユニークなキャラクター設定で、なおかつ背景にあるストーリーも、家族へのやさしさや地球環境への配慮など、しっかりと考えて作られたものでした。モデリングの限界を、Squeakでのゲーム的センスでカバーするクリエイティブ性には、今後のポテンシャルの大きさを感じました。ストーリー作りをより深く学ぶことで、大いに才能が伸ばせると思います。

惜しくも次点となった作品も優秀作ぞろい

そして、今回は非常に残念ながら、スーパーサイエンスキッズに選ばれなかったサイエンスキッズの作品説明と講評を紹介します。(順不同)

<サイエンス部門>

TOMOさん(小学4年)
時間を計るための振り子を作り、ビー玉をアルミ箔で包み、それを分銅にした振り子が当たるとセンサーが反応してフィラメントが光る装置を考え、その光を世界聴診器で計測したかったのですが、時間がないためあきらめました。
(審査員の先生のコメント)
振り子と世界聴診器を使って時間を計ろうとしたアイデアは優れたものでした。結果的に時間切れで装置が未完成だったのは残念ですが、今後より科学的な作品が想像できるようになることを期待しています。
ダイスケさん(小学6年)
タコ糸の両端に粘土で包んだビー玉のオモリを付け、横倒しに固定したペットボトルの胴にひっかけたオモリの落ちる時間を計ろうとしました。反省点は、タコ糸がペットボトルの角にひっかかり、動きがスムーズにいかなかったことです。計画では15秒ほど計れるはずです。
(審査員の先生のコメント)
考え方はすばらしいものがありました。もう少し、アイデアを具体化するための工夫と視点の広がりがあれば、よりよい成果を出すことができるでしょう。今後に期待します。
なるさん(小学6年)
紙コップの底に穴を開け、コップに入れた水が落ちたときに、水を受け止めた下の紙コップに溜まった水の深さで10秒の時間を計ろうとしました。計測方法は、あらかじめ水を10秒間だけ落とし、その水位に印をつけておくことで、何度でも時間を計ることができます。難しかったことは、紙コップに入れる水の量によって、落ちる時間が変わってきてしまうことが分かったため、同じ量を入れることに気づくまでが大変でした。
(審査員の先生のコメント)
世界聴診器を使わずに水と紙コップだけで時間を計ろうとした着想はすばらしい。もう少しメカニズムについて考えを深めた方がよかったですね。次回も興味深いアイデアを楽しみにしています。
リョウタロウさん(小学4年)
竹ひごと紙コップをつかってトイを作り、そこにビー玉を転がすことで、その距離で時間を計る方法を考えました。ビー玉が最後まで到達する時、カタッと音がするので、そこまでの時間を時計で見て約3秒かかることが分かりました。Squeakでは、この実験装置の仕組みと動きをスクリプトで作りました。苦労した点は、トイの角度をスポンジで微妙に調整しようとしたことです。
(審査員の先生のコメント)
微妙なさじ加減で計測装置を作った努力を高く評価します。また、毎回同じ時間を計測できることに注意したことも高評価でした。今後も継続して学んでいけば、次回はきっと良い結果となるでしょう。期待しています。
ミツキさん(小学4年)
発砲スチロールでトイを作り、ビー玉を転がして時間を計ろうと考えましたが、時間が足りなかったので装置は未完成でした。計画では、Squeakのスクリプトを使って転がるビー玉の動きから時間を表現しようとしました。
(審査員の先生のコメント)
装置が未完成だったのが残念でした。ですが、発想は非常にすばらしく、時間配分に気をつけて作業が進められれば、より良い作品となったでしょう。今後に大きく期待しています。

<アート部門>

ひろーさん(小学5年)
「未来の不思議な生き物」というタイトルで、未来にはどんな生き物がいるのか想像し、その生き物の生活している環境や特徴、なぜ誕生したのかを考えました。ジャングルの奥深く生息し、外見はとがったものが多く生え、天敵に備えて相手を麻痺させるぐらいの毒ガスを吐くのが特徴です。そしてそれは、イモムシが長い年月で進化を遂げた生物だったのです。
(審査員の先生のコメント)
生命の進化をまじめに考え、その生きる環境や特徴の設定に想像性豊かなものが感じられました。今後もユニークな作品を期待しています。
Fu-naさん(中学1年)
はるか昔に絶滅したと考えられた恐竜ですが、3XXX年に砂漠化した某国で一匹の竜が生きたまま発見され、恐竜は生き残っているとの説が強くなった、というストーリーを考えました。その中で、竜の血を調べたところ、遺伝的に似通った点が非常に多いことが判明し、竜は恐竜が進化した姿だと思われるようになったという解説を加えました。
(審査員の先生のコメント)
粘土で竜をダイナミックに表現したモデリングの才能を高く評価します。また、恐竜と竜の共通点を想像したストーリーもしっかりと考えられたものでした。モデリングのセンスを活かせるよう、常識を打ち破るような色使いや独創性も盛り込めれば、なお良かったと思います。今後は、プロの作品を見る機会を得て、その才能を伸ばしていってください。
いっせいさん(小学4年)
未来では、恐竜が化石から復元できると想像して宇宙に生きる恐竜型生命体を考えました。Squeakでゲームを作り、人間のような形をした生物に恐竜が触れると点数が増えます。ピンク色の生物に当たるとプラス2点。また、全ての浮遊物に当たると恐竜は回り出し、星に当たると3点がマイナスされます。
(審査員の先生のコメント)
生き物のデザインや生まれた設定も良く考えられ、Squeakでゲームまで作ってしまった作品制作のスピードに驚きました。今後はより深くストーリーを考え、優れた新しい作品を生み出していってください。
ゆうたさん(小学3年)
僕は、科学の発展によって鳥とワニが遺伝的に合体した新種の生き物の姿を想像しました。
(審査員の先生のコメント)
驚くような生命誕生の設定も非常にユニークで、デザインもすばらしいものでした。次回も興味深い作品を期待しています。
あやちゃんさん(小学6年)
私は、ロボットとなった未来人の姿を想像して粘土でモデルを作り、それをSqueak上にゲームで表現しました。ペットと一緒にロケットで宇宙を旅行します。
(審査員の先生のコメント)
キャラクターのユニークさはもちろん、モデリングの色使い、ゲームの構造もしっかりと考えられて大変良かったと思います。そのアイデアと独創性を活かした、今後の作品を楽しみにしています。

作者自ら説明を終えた後、HPSSK実行委員長の瓜谷さんから子どもたち個人に対して、Squeakの作品制作ですばらしい成果を発揮し、サイエンスキッズに認定されたことを示す表彰状が授与されました。瓜谷さんは、「明日のダ・ヴィンチを目指して、さらにその才能に磨きをかけ、世界に貢献できるすばらしい人になってください」とみなを激励します。

【審査員の先生方の総評】

アート部門は評価が難しく、サイエンス部門はレベルが向上との評価

また、最新審査を終えた審査員の方々からは以下のような総評をいただきました。

並木 美太郎さん
サイエンス部門にとっては、難しい課題にもかかわらず、科学的分析とSqueakでの表現がしっかりとなされていたので、みなさんの才能を高く評価したいと思います。また、今回はアート部門によるひとつの基準ができたことで、ファンタジー系とゲーム系での評価の課題が浮き彫りになりました。しかし、そのおかげで、それぞれが評価を伸ばすワークショップのあり方の有効な指針になるでしょう。今後拡充に期待できる分野です。
鈴木 元さん
未来のダ・ヴィンチを探すコンテストらしく、アート部門の評価は興味深く、かつ審査は非常にチャレンジングなものとなりました。それゆえ、議論も紛糾しましたが、今回評価尺度ができたことで、次回からはより具体的なテーマが与えることができるでしょう。今回以上の多彩な才覚の発露を期待したいと思います。
武田 俊之さん
今年の最終審査は非常に難しい選択がいくつもありましたが、サイエンス部門の上位入選者には大きな才能を感じました。アート部門は今年から新たに試みられたものですが、今後はテーマをより絞り込むこと、評価基準をより明確化することが課題だと考えます。来年が楽しみです。
高橋 真さん
サイエンス系では、世界聴診器を使い慣れている子どもたちが多かったので、アイデアが具体化しやすかったというのが印象的でした。繰り返し時間計測が再現できるかどうかも、評価のポイントとなりました。また、アート部門であっても、プログラミング的能力を示す子どもには、よりダ・ヴィンチに近い両方を兼ね備えた才能として、高く評価する見方もできるでしょう。
本田 光広さん
難しいテーマに対し、子どもたちはみな良くがんばったという感想です。また、それを審査する側も今後より切磋琢磨しないと、子どもたちの才能についていけなくなりそうな可能性を感じました。サイエンス部門はテーマをより明確設定すること、アート部門はどんな部分の才能に注目すべきかなどが今後の審査に向けた課題と考えられます。しかし、予備審査の段階で、各先生方の見る目が確かだったことを改めて認識しました。最終審査に参加した子どもたちはみなすばらしい才能に恵まれています。
吉田 ひさよさん
CG製作の経験者としての立場から、アート部門では純粋な独創性を評価することはもちろん、優秀なアーティストを育てるために、色彩や質感などの刺激を与えてあげる必要性を強く感じました。また、アートがビジネスになっている現場を見せてあげることで、より自分の技術を磨くことの必要性に気づくのではないでしょうか。今日の最終審査は、今後のワークショップのテーマを考える貴重な機会となりました。また、サイエンス部門で選ばれたお子さんも、発想や技術的ノウハウが身ついていて、作品も完成度の高いものが多かったように感じました。
瓜谷 輝之さん
HPSSKも2年目になり、子どもたちも大きく成長した一方で、私達も試行錯誤しながらお互いに切磋琢磨できる機会になっていることを改めて強く感じます。また、何度もチャレンジしてくれる子どもたちの存在も心強く、私達の大きな励みになっています。今年スーパーサイエンスキッズに選ばれなかった子も、その差はほんの僅かです。サイエンスキッズに選ばれなかったことに誇りと自信を持って、そのめぐまれた才能に磨きをかけて下さい。そして、そんな子どもたちのがんばりを受け止められるよう、私達も努力してまいります。

【HP-Squeakersの感想】

スーパーサイエンスキッズは他のみんなの手本になって欲しい

そして、今回の最新審査をサポートしたHP-Squeakersを代表し、以下の2人からも感想をうかがいました。

渥美 智晴さん
みな、普段より真剣に課題に取り組み、長時間集中力を途切れさせずにがんばったことを、まずは心から褒めてあげたいと思います。また、今回スーパーサイエンスキッズに選ばれた人は、今までの2倍も3倍もがんばって、他のみんなの手本になって欲しいと思います。同様に、我々も更に勉強をしなければならないという思いを強くしています。
須藤 斉さん
去年、最終審査で世界聴診器を利用した子どもは1人しかいませんでした。しかし、今年はなんと3人もいて、しかも時計のような概念的なテーマに果敢にチャレンジし、レベルが向上したと感じました。また、アート部門もすばらしい作品が作られましたが、一方でもっと前衛的な作品があっても良かったかなと思います。来年は更なる工夫と、Squeakの可能性を引き出した驚きのある作品を期待しています。

【保護者のみなさんの声】

最終選考会には、多くの保護者の方々とともに、教育活動を行う専門家の方も見学に見えられていました。以下は、その方々からいただいた、HPSSKの取り組みに対する声を紹介します。

最終選考会に参加した小学4年男子のお母さん(TOMOさんのお母さん)

Squeakのことはホームページで知ったようです。科学が大好きなため、すぐに興味を示して使い始めました。その後、HPSSKのワークショップに参加すると、自分で自由に絵を動かせるSqueakとりこになってしまい、勉強そっちのけで毎日プログラムを楽しんでいます。今では、魚の構造図や複雑なゲーム作りなどに挑戦しています。

これまでは、何かアイデアはあっても、簡単に表現する手段を知らなかったのですが、Squeakに出会い、ボランティアの方々にもご指導いただいたおかげで、思い通りに描いて動かせるので、本人はとても嬉しそうです。実験や体験したことをビジュアルで表現でき、考えをきちんと整理できるSqueakは貴重な教育手段だと思います。

家庭や学校では体験できないことを実現させていただいている、ボランティアの方々や日本HPさんたちの貢献には心から感謝しています。とりわけ、ベーシックなことのみを教えて突き放すのではなく、上級のワークショップも設けられて、根気よく子どもの才能を導いてくださったおかげで、子どももますますがんばる意欲を見せています。これからも、このすばらしい取り組みを続けていただきたいと願っています。

最終選考会に参加した中学1年男子のご両親(T.Nさんのご両親)

2年前の小学5年の時、土曜学校で初めてSqueakを学びました。自分が思ったことを直感的に表現できる道具だとして、すぐに夢中になったようです。その翌年は、年間10回の教室と、数回のワークショップに参加し、HPSSKにも応募を決意しました。結果はサイエンスキッズでしたが、中学生になった今年もワークショップには参加し、地元三鷹の小学生に教えるまでになっています。今では、小学2年の弟や私達夫婦もSqueakにはまってしまいました。

私も昔BASICを学んだ経験があり、プログラミングのおもしろさを理解していますが、Squeakはそれ以上に優れたツールです。また、HPSSKのイベント内容も講師の先生方もすばらしく、そこで見て体験したことを、Squeakで考えて表現できるのは、本人の能力を伸ばす上でとても画期的なことです。

本人は、プログラマーになることが将来の夢といっていますが、そんな目標を見つけられたのも、日本HPさんによる日本社会に向けた貢献活動と、休日をつぶしてまで支援してくださるHP-Squeakersのみなさんのおかげだと思って感謝しています。日本にはプログラマー不足が叫ばれている中、このような取り組みを毎年継続していただくことが非常に重要なことだと感じています。

三鷹市地域子どもクラブ実施委員会中原小学校区 中原はちのすけ倶楽部
コーディネーター 宮崎眞由美さん

三鷹市地域子どもクラブでは、三鷹市教育委員会の委託を受け、放課後の子どもたちの居場所作りとして、市内15校にクラブを作り、その運営を支援しています。Squeakは、昨年度からパソコン教室で本格的に取り入れ、現在は7校で65人の子どもたちが使っている状況です。今年は3回ほど本格的なワークショップを開催していただきました。

昨年はクラブから1人がサイエンスキッズとなり、今年は18名応募して4人が選出され、継続の成果が出始めていると感じています。それが、他の子どもたちのモチベーションアップにもつながっているようです。

Squeakのすばらしさは、子どもたちの考えを絵や動きでパソコン上に楽しみながら具現化できることにあります。壁にぶつかっても、ちょっとしたアドバイスで自分から問題を解決できることも学べます。それが、使いこなす努力が必要な通常のソフトウェアと大きく異なる点でしょう。

また、世界聴診器の開発によって、外界にある事象を自分のアイデアを盛り込んで取り込むことができるようになりました。これらのような優れたツールが、教育の場でさらに広まっていくべきではないでしょうか。

Squeakを学ぶ子どもたちを見ると、自己解決能力の向上とともに、手間隙をかけることを億劫がらない忍耐力も向上していることが分かります。サイエンスキッズに選ばれた子どもも自信がつき、さらに能力を伸ばす傾向にあるなど、理想的な方向にサイクルが回っているように見受けられます。

日本HPさんには、機材の貸与やイベントなどで貴重な学習の機会をいただき、またHP-Squeakersの方々にも、根気よく丁寧に大変良いアドバイスを与えていただけています。私達だけの努力では、これらの経験を子どもたちに与えてあげることは不可能だったでしょう。これが本当に意味のある社会貢献だと思いますし、ここまでしてくださる企業は他に存在しません。心より感謝しています。

今後は、できるだけ多くのサイエンスキッズを生み出すことで恩返しをしたいと思っています。