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3月25日~3月30日 「米国サイエンス・ツアー」リポート

2007年3月25日~3月30日、「HPスーパー サイエンス キッズ」コンテストの最終選考会で選ばれたスーパーサイエンスキッズ5名たちが招待された“米国サイエンス・ツアー”が遂行されました。全員がアメリカは初めてというキッズたち。ロサンジェルスとシリコンバレー地区に滞在した5日間に、ゲティ・センター見学、現地小学校の子供たちとのスクィークを通じての交流を行い、NASAの研究所であるJPL、コンピューター・ヒストリー・ミュージアム、スタンフォード大学、HP中央研究所、エクスプロラトリアム(体験型科学館)などを訪れました。

これらの場所で、明日のダ・ビンチたちはすばらしい美術作品を鑑賞し、毎日サイエンスにまつわる様々な話を見聞きし、最先端テクノロジーに触れるといった貴重な体験の数々を得ることができたようです。どのような体験をしたのか、順を追ってご紹介していきましょう

カリフォルニアに着いた!

ゲティ・センター

今回のツアーは、HPスーパーサイエンスキッズの実行委員長で、日本HP ガバメント・パブリック・アフェアーズ部長の瓜谷輝之と米国滞在中のHPスクイーカーズのメンバーと、スクィークの生みの親であるアラン・ケイ博士が代表を務めるViewpoints Research Instituteのメンバーが同行しました。

初日、最初の滞在先ロサンジェルスの空港に到着した一行は、入国手続きのラインは長蛇の列にびっくり。なかなか前に進まず、空港外に出たのは2時間後でした。子どもたちも、同行した大人たちもくたくたです。

出迎えのバスに乗り、サンタモニカに到着。そこで、カリフォルニアの青い空と空気を満喫して、長いフライトの疲れもやや吹き飛んだ様子です。

そのまま、ゲティ・センターに向かいます。ここは、ミネアポリス生まれの資産家、J・ポール・ゲティ氏による私設ミュージアムです。個人所有の美術館でありながら、5つのパビリオンからなる大規模なもので、美術館の中には、美術史人文学研究所、修復研究所、美術教育研究所、情報研究所なども併設されています。1日ですべてを見ることは難しいため、スーパーサイエンスキッズたちは、それぞれに興味のあるパビリオンを見て回りました。

スクィークで言葉の壁を越える

SSKが自己紹介・作品発表

2日目、朝から緊張気味のキッズたち。 この日は、ツアーのメインイベントでもある、オープンチャータースクール訪問を行い、現地小学生たちの前で自分たちのスクィーク作品を披露することになっていました。オープンチャータースクールは、教師と親が自立的に授業カリキュラムやプログラムを話し合い、運営をおこなっている学校です。同校では、アラン・ケイ博士の指導により、スクィークのカリキュラムを取り入れています。

日本のスーパーサイエンスキッズたちは、小学3、4年生のクラスにジョイントし、一人ずつ自分の作ったプログラムを披露しました。プログラムを動かすと現地の子どもたちから時おり「ワォオ-!」といった感嘆の声もあがっていました。

休み時間をはさんで、スクィークの授業に参加しました。スーパーサイエンスを一人ずつ含む4人のグループに分かれて、先生から出された課題「スクィークで水時計を作ろう」に挑戦しました。時間は1時間40分ほど。

USの子供たちと

始めはボランティアの方に通訳をお願いして、お互いのアイディアを交換していましたが、スクィークを使い出すと、画面を見ながらの直感的なやりとりができたようです。

時間内にどのグループもプログラムを完成することができ、その後にチームリーダーが発表を行いました。 とても人懐こく、フレンドリーなスクールの子どもたちは最後まで別れを惜しんでいる様子で、サイエンスキッズたちにとっても、たいへん思い出深い訪問となったようです。

スクール訪問の後は、カリフォルニアサイエンスセンターへ向かいました。ここでは、IMAXや特別イベントとして開催されていたスターウォーズの展示などを見て、楽しみました。

仲間たち カリフォルニアサイエンスセンター

アラン・ケイ博士とともに あこがれのNASA JPL見学

アラン氏と

3日目、オープンチャータースクール訪問を無事に終えたこともあり、キッズたちはリラックスした様子です。この日は、LAのNASA敷地内にあるJPL(Jet Propulsion Laboratory =ジェット推進研究所)を訪れました。

JPLに到着するとアラン・ケイ博士が出迎えてくれていました。このことは、子どもたちには知らされていなかったため、突然の出来事に皆、びっくりした様子でした。

JPLは、古くからNASAの宇宙開発計画に携わっており、惑星探査機の開発や設計をしています。

JPLメンバーのトム・ナロン氏によるJPLの研究概要の説明で、みんなが注目したのは、JPLが開発したという「世界一軽い固体」です。近年のスピリットやオプチュニティといった火星探査プロジェクトのビデオも見せていただきました。英語のビデオにJPL、日本人メンバーの鈴木氏が、日本語の翻訳を付けてくださっていたため、大変わかりやすく内容を把握することができました。 また、実際に稼動中の火星探査の管制センターを見学しました。JPL見学の後は、いよいよシリコンバレーへと移動です。

先端技術の街、シリコンバレーを満喫

ツアー4日目、シリコンバレーでは、大変ハードでめまぐるしい一日を送ることになりました。 カリフォルニア北部のサンフランシスコ、ベイエリアの南部に位置するシリコンバレーは、大手メーカーからベンチャーまでの様々なIT、ICT系の企業がひしめき合い、また、最先端テクノロジーに携わる人々が集まるエリアとして有名です。

スタンフォード大学 アランケイ氏・コンピュータミュージアム

朝一番に訪れたHP 中央研究所では、バーチャル会議システム「Halo」をはじめとするHPの研究の様子を見学しました。50インチディスプレー3台を使った「Halo」システムでバーチャルゲームを見せてもらったり、HPのプリンターで印刷した星の写真をテントの中に360度に並べて作った手作りプラネタリウムに入ったり、ゲーム用に開発されたPCとソフトに連動するシートを使ったゲームをしたり、楽みながらのテクノロジーとのふれあいでした。シリコンバレー発祥の場所に認定されているHPのガレージにも立ち寄りました。

スタンフォード大学では、教育現場でのコンピュータ技術の活用例を見学し、午後には、コンピューター・ヒストリー・ミュージアムに向かいました。コンピューター・ヒストリー・ミュージアムには、世界最初のコンピュータを初めとする、歴史的なコンピュータの数々が展示されています。ここにも学会で訪れていたアラン博士が合流し、アラン氏から直々にコンピュータの説明を聞くことができました。

見学の後、キッズから「アランさんの子どもの頃の夢は何ですか?」と訊ねられると、アラン氏は

「私の子どもの頃は、コンピュータがまだなかったので、音楽家か物理学者になりたいと思っていました。高校生の頃にコンピュータに興味を持つようになりました」
と答えていました。また、「子どもの頃はどんな子どもでしたか」の質問には、
「本を読むことやものづくりをすることが大好きだった。週に10冊は読んでいました。皆さんも、本を読んだり、ものを作ったりどんどんして、いろんな発見をしてください」
と話していました。

触れて解るサイエンスの不思議!

音の体験学習

最終日は、サンフランシスコに移動し、エクスプロラトリアムと呼ばれる大型の体験型サイエンスミュージアムに行きました。 ギリシア神殿風の建物は、一見には、技術博物館とは思えません。中はとてもゆったりしたつくりで、子どもだけではなく、多くの大人たちも「体験型」の展示物を楽しんでいます。 芸術家と科学者が協力して構想された、ここでの展示物は、すべてここの工房で自主制作されているそうです。

一通り、展示物を見学した後は、ここでサイエンスティーチャーを勤めるモディスト・タメッツ先生によるスペシャル授業を受けることになりました。

海にくり出したり、展示会場を飛び回ったりと、とてもエネルギッシュなモディスト先生から、科学や理科に関係する楽しいレクチャをたくさん聞くことができました。モディスト先生は

「とにかく見て、触って見ることです。例えば、僕が見ている“黄色“が他の人が見ている”黄色“と同じではないかも知れない。不思議だと思って見ること、変だなと思ってみることが、大切です」
と話していました。

5日間の旅を終えて

興味深いスケジュールで5日間の旅を終えたスーパーサイエンスキッズたちに感想を聞きました。

みかさん
HPラボやJPLを見学したことが印象的でした。科学者や技術者の人たちがみんな楽しく仕事をしている印象をうけました。
なおくんさん
いろいろな貴重な体験をできて来てよかった。アメリカの子どもたちとスクィークを一緒に学べたことや科学館での体験が楽しかった。
はるかさん
スクールの子どもたちがすごく親切で、いろいろ案内してくれたのがうれしかった。積極的に質問をしてくれたけれど、英語でうまく答えられなかったのが残念でした。帰り際にプレゼントももらってうれしかった。日本のメンバーでスクィークを使ったプログラムを作成し、送ったりして、これからも交流ができたらいいなと思っています。
まっちゃさん
楽しかった。スクールでの課題を聞いた時に、アイディアはすぐ閃いたけれど、自分ひとりではなくて、みんなでやるところがまとまるか心配だった。でも、スクィークを使ってしまえば、言葉で確認するよりも簡単だと思った。
れいさん
HPラボでの「Halo」のシステムやカーレースのシミュレーションが一番勉強になり、面白かった。火星探知機の話など聞いて、完成した時はすごくうれしいと思うけれど、それまではたくさんの努力の積み重ねがあるのだと思いました。

同行した大人たち皆が感じたことは、たったの5日間で、キッズたちが大きく成長したということです。言葉では説明しきれない、初めての体験を得て、きっと大きく刺激を受けたことでしょう。

今回の経験を通じ、スーパーサイエンスキッズたちの感性にさらに磨きがかかったのではないでしょうか。この経験によって、彼らのサイエンスやテクノロジーに対する視野や興味がさらに広がることを願っています。